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#51 夫婦二人三脚で挑戦する農園の名前の由来は「縁(よすが)」

よすが農園
寺島匠さん

郡山市では、毎年約150人から200人程度が、新規就農者として農業をはじめています。
その中で、約半数程度が県外から移住してきた方など、外部人材の方々です。

富久山町の南小泉に農園を構えるよすが農園の寺島匠さんも、2021年に東京都から郡山市に移住し、新規就農者となった農家さんです。

寺島さんが郡山に移住したきっかけは、奥さんの実家が郡山だったことから。
奥さんとは2013年に当時勤めていたスポーツ用品を販売する会社の同僚として出会い、後にテニスインストラクターになる際に結婚。結婚前から田舎暮らしにあこがれを抱いており、匠さんの実家・山形か、奥さんの実家・郡山に移住する計画を立てていたところ、たまたま奥さんの実家に空き家があったことから、そこに移住し、農業に関わることになったのが、2021年のこと。
明け方から収穫作業をしている寺島さんの畑にお邪魔し、農家の魅力、トウモロコシ作りの想いをお聞きしました。

「移住した当時は、農業をやるつもりは特に無かったです。」

「移住した直後、家庭菜園を始めたタイミングで、COCO FARM(音川青果)さんでアルバイトをさせてもらってました。」と飄々ひょうひょうとした雰囲気で移住した当時の思い出を語る、匠さん。

アルバイトをする中で農業の面白さに目覚め、就農を決意。郡山市の農業政策課に相談に行き、土地探しや育てる作物選び、地域の支援農家さんの紹介等の情報収集に取り組む中で出会ったのが、郡山ブランド野菜協議会会長・鈴木光一さん。

「光一さんには、特に栽培に関するノウハウ的な部分を教えて頂きました。というか、今も教えて頂いています(笑)。品種選びや病虫対策、流通経路まで。何か相談事があれば、今でもすぐに電話させてもらっています。
移住直後にアルバイトさせてもらっていたCOCO FARMさんは、就農してからも、野菜の卸先として一番お世話になっています。」

「トウモロコシって、朝採れがむっちゃ美味しいんですよ」

移住した翌年の2022年に富久山町・南小泉に土地を借り、最初に作り始めた野菜はキュウリとトウモロコシ。その理由は、
「キュウリは農業政策課の方に勧められて始めました。トウモロコシはもともと興味があった野菜で、最初は興味半分ではじめてみたのですが、収穫したものを自分で実際に食べたその美味しさに衝撃を受けまして、いまはトウモロコシをメインで展開しています。」

トウモロコシの魅力をさらに聞くと、匠さんの表情が、一段と晴れやかに。
「まず作ってて面白いっていうのがありますね。それとお客様に一番喜ばれるのがトウモロコシだって最近色んな野菜を作っていて思います。」

「朝採れのトウモロコシを直売所などに納品に行くと、すぐにお客さんが飛びついて買っていかれるんですよ。トウモロコシは夜のうちに水分を多く吸い込むので、早朝・日が昇る前に収穫するのが一番理想なんです。うちは野菜が一番おいしいタイミングで食べてもらいたいっていう想いがあるので、毎日日が昇る前に収穫してすぐ納品に行くようにしています。」

美味しい野菜を、美味しいときに食べてもらって、地元の若い人を中心に、もっと野菜に興味を持ってもらいたい。それが匠さんの目指す農業の姿です。

美味しいトウモロコシを作る「土壌」へのこだわり

トウモロコシ作りで一番こだわっているのは、「土づくり」と話す匠さん。

「もともと借りた土地が、水はけがあまり良くなく、粘土質になっているところがあって。当初そのまま作っていたら、他の場所と比べて明らかに背が低く生育が悪かったことから、土壌作りに試行錯誤しました。」

「やわらかい土壌を作るために、色んな肥料を組み合わせて使っています。地元で和牛を育てている武田ファームさんから牛糞を堆肥として使わせて頂いたりもしています。」

就農から今年で3年目と、まだまだ新米農家さんである匠さんですが、試行錯誤を重ねる中で、着実に美味しいトウモロコシ作りのノウハウを蓄積しています。

夫婦二人三脚で目指す「地産地消」

農家として着実に成長をする匠さんを支えているのが、奥様の真心まなみさん。
いまは早朝の収穫・梱包を一緒に手伝うなど、二人三脚で取り組んでいる農業ですが、奥さんは並行して実家を改装してカフェを始める準備を進めています。

「自分たちで育てた作物を、美味しく食べてもらえる場所を作りたいと思い、野菜や果物を使ったサラダ・スープ・スムージー等をメインで提供するカフェを2025年春にOPENする予定です。」

そんなお店を、郡山市の長者町の住宅街のど真ん中に作ることに。
その理由をお二人は、
「地元の人・特に顔の知っている知人・友人とのよすがを大切にしたいという想いから、空き家を改装してお店をやることにしました。遠出が難しいおじいちゃん・おばあちゃんなどにも、美味しい野菜や果物を食べてもらいたいです。」

匠さんの農園で作ったこだわり野菜を、真心さんの実家を改装したカフェで提供する。そんな夢のような「地産地消」の取り組みに、移住して4年目の夫婦が、郡山市でチャレンジします。

ちょうど良い田舎暮らしと、人の「縁」

奥さんの実家だった郡山市に移住し、アルバイトがきっかけで産まれた農業と人の「縁」。
農園の名前、よすが(縁)も、お世話になった方々への感謝の気持ちが込められています。

郡山市に移住して4年経過した今、思っていることを尋ねると、
「移住する前に思い浮かべていた「田舎暮らし」って感じではないですが、自分たちにはちょうど良かったなって思いますね。ほんとの田舎だと色んなしがらみがあったり、生活する大変さもあったりで、今ほど色んな事が出来ていなかっただろうと思います。それに郡山市には志のある若い農家さんが多くいらっしゃり、その縁があっていま、よすが(縁)農園ができていますが、そんな若い方が多くいることが、郡山の魅力なんだと思っています。」

都市と田舎が共存する街・郡山の良さを存分に活かした、地産地消の取り組みに、これから目が離せません。


よすが農園
福島県郡山市富久山町南小泉
https://www.instagram.com/yosuga.farm_ichirinka/


<よすが農園の農作物が買えるお店>

■愛情館
福島県郡山市朝日二丁目3-35
TEL 024-991-9080
https://www.zennoh.or.jp/fs/store/aizyokan.html

■あぐりあ
福島県郡山市安積町成田1丁目20-1
TEL 024-945-7483
https://life.ja-group.jp/farm/market/detail?id=1007

■ザ・モール郡山(LIVIN 食品館)
福島県郡山市長者1-1-56
TEL 024-933-0100
https://themallkoriyama.com/shopguide/detail/?id=76

※よすが農園インスタグラムから直接ご連絡頂き、購入することも可能です。


<よすが農園の野菜が食べられるお店>

ICHIRINKA 小さな農家カフェ
2025年春オープン予定 
https://www.instagram.com/ichirinka_313/

<動画>ショートムービーをご覧ください。

取材日 2024.8.9
Photo by 公文 健太郎  
Interview / Text by 菅原 有記 (tribeat)
著作 郡山市(担当:園芸畜産振興課)