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生産者インタビュー

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フロンティアファーマーズのメインコンテンツ。福島県郡山市で農業を営む皆さんにインタビュー取材しました。彼らがどのように「農」に取り組み、受け継ぎ、繋いでいるのか。彼らの生の言葉で…
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#東日本大震災

#5 郡山の農業の未来を担う“一番星”。 ブランド野菜を育てた父の背中を追い生産者の道へ

鈴木農場 鈴木智哉さん 農業界全体にとって深刻な問題である生産者の高齢化と後継者不足。農林水産省のデータによれば、年齢別の就業者数で見た場合、49歳までの農業就業者の数は全体のわずか16%。約7割を60代以上が占めています。一方、若手の新規就農者数は伸び悩んでおり、その流れに歯止めがかかる気配はありません。 そんな中、2017年、大学卒業後すぐに就農した期待の若手生産者が郡山にいます。彼の名は、鈴木智哉さん。「万吉どん」「佐助ナス」「あこや姫」など人気の郡山ブランド野菜を

#3 祖父が拓き父が育てたりんご畑。 受け継ぐ3代目が胸に抱くのは「守る決意」

力丸果樹園 力丸哲さん JR水郡線谷田川駅のほど近く、国道49号線から須賀川方面へ折れる細い山道をたどっていくと、やがて広々としたりんご畑が目の前に現れます。東に宇津峰山の頂を見上げ、西に安積平野を見下ろす、この美しいロケーションで果樹園を営むのは、力丸さんご一家。40年余り前、代々生業としてきた養蚕からりんごと桃の栽培にシフト。現在農園を仕切る哲さんは、果樹農家としては3代目にあたります。 阿武隈高地の山すそに位置するこの地域は山あり谷ありで、もともとは広い農地を確保す

#2 300年・15代続く農家がピンチを乗り越えたどり着いた 「里の放牧豚」、絶品の旨味

株式会社ふるや農園 代表取締役 降矢セツ子さん 「私、豚のことなんて何も知らなかったのよ。」 そう言いながらハハハと笑う「ふるや農園」の代表取締役、降矢セツ子さん。郡山市田村町、阿武隈高地の山懐で300年・15代続く農家に嫁ぎ、40年余りになります。1982年にカイワレの大規模な水耕栽培を開始。近年はいちごの通年栽培に取り組み、凍らせたいちごをそのままかき氷にした「かきいちご」も人気ですが、もうひとつ、このふるや農園の経営の大きな柱となっているのが「放牧豚」。郡山市内でた

#1 渋谷生まれの元ライターが湖南で育てる「トマトの宝石箱」

株式会社美農然 代表取締役 齋藤章輔さん 福島県内で新たに農業に従事した人の数は、2017年度で211人(福島県農林水産部農業担い手課調べ)。東日本大震災以降、その数は大きく減少していましたが、2016年に震災以前の水準に戻りました。Iターンによる新規就農者も少なくなく、震災後の福島の農業を静かに、力強く支えてくれています。 郡山市湖南町福良の集落から、猪苗代湖の数ある浜の中でもとりわけ明媚な風光で知られる青松浜へ抜ける一本道。正面に磐梯山を望むその道から少し東にある10