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生産者インタビュー

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フロンティアファーマーズのメインコンテンツ。福島県郡山市で農業を営む皆さんにインタビュー取材しました。彼らがどのように「農」に取り組み、受け継ぎ、繋いでいるのか。彼らの生の言葉で…
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#就農

#29 「お父さん、うちの野菜おいしいよね」―娘の言葉で目覚めた後継者の意識

きゅうり農家 松井弘信さん まだ夜が明けきらぬ7月のとある日の午前5時。郡山市三穂田町のきゅうり農家、松井弘信さんの納屋を訪ねると、山積みされた獲れたてのきゅうりを箱詰めする松井さんの姿がありました。 「一番早い時期には夜中の2時から箱詰め作業をしています。」 手を休めることなく一本ずつ丁寧にきゅうりを箱に運びながら、松井さんがそう教えてくれました。最盛期には1日に2度収穫し、睡眠時間は3時間ほどしか取れない日もあるといいます。松井さんを始めとする多くのきゅうり農家のみ

#24 コロナを機にライフスタイルを見つめ直し開いた農園。祖母・母と共に取り組む無農薬の野菜作り

いろは農園 半澤美穂さん 郡山を代表する観光スポットの一つ「高柴デコ屋敷」。市東部の西田町にある民芸品の里で、集落内の4軒の家が数百年前から郷土玩具の三春駒や張子人形を作り続けています。またこの地区には、張子で作ったお面をかぶって踊る「高柴ひょっとこ踊り」が受け継がれています。見る人を一瞬で笑顔にするユーモラスなその踊りは、郡山が誇る素晴らしい文化的財産です。 「せっかく写真を撮っていただくので西田らしいものを」 そう言って張子のお面を手にした「いろは農園」の半澤美穂さ

#22 役者、教師を経て70年続く梨農家の3代目へ。先輩達への感謝を胸につなぐ故郷の農業

谷代果樹園 谷代克明さん 郡山の北西部に位置する郡山市熱海町。磐梯熱海温泉で広く知られ湯の町のイメージが強いエリアですが、実は国内有数の「梨どころ」でもあります。その栽培の歴史は明治以来100年以上とも言われ、毎年この地からたくさんの梨が県内、国内の各地へ、またベトナムなど海外へも届けられています。 ここ数年、熱海の梨農家の間では「ジョイント栽培」と呼ばれる新しい栽培方法が積極的に導入され、収量の向上を実現しています。木の幹を片側一方向へ伸ばし、その幹の先端部を隣接する幹

#6 美容師から農業へ転身し10年。 野菜作りへの情熱を支え続ける「強く高い志」

有限会社ニッケイファーム 大竹秀世さん 前回の「フロンティアファーマーズ」に登場してくださった鈴木農場さんの存在と取り組みは今、郡山の農業界にしっかり根を張り、仲間同士の横のつながりや後進の育成にもつながっています。 今回ご登場いただくニッケイファームの大竹秀世さんも、鈴木農場さんで農業の指導を受けた経験をお持ちの一人です。この道を志して10年あまり。無農薬・無化学肥料での野菜作りにこだわり、今では年間約100種類もの作物を生産する、郡山の農業の未来を担う期待の若手の1人

#5 郡山の農業の未来を担う“一番星”。 ブランド野菜を育てた父の背中を追い生産者の道へ

鈴木農場 鈴木智哉さん 農業界全体にとって深刻な問題である生産者の高齢化と後継者不足。農林水産省のデータによれば、年齢別の就業者数で見た場合、49歳までの農業就業者の数は全体のわずか16%。約7割を60代以上が占めています。一方、若手の新規就農者数は伸び悩んでおり、その流れに歯止めがかかる気配はありません。 そんな中、2017年、大学卒業後すぐに就農した期待の若手生産者が郡山にいます。彼の名は、鈴木智哉さん。「万吉どん」「佐助ナス」「あこや姫」など人気の郡山ブランド野菜を

#4 始まりは父が建てたビニールハウス。 試行錯誤し辿り着いた、深く甘い「うねめの里大葉」の味

有限会社郡山アグリサービス 代表取締役社長 遠藤喜敬さん 明治時代に誕生した安積疏水は、水利が悪く稲作に適さなかった郡山の土地を猪苗代湖の水によって潤し、豊かな水田地帯へと大きく変貌させました。2017年における郡山市の市町村別水稲収穫量は全国15位(2018年2月28日農林水産省公表)。県内一の米どころとして全国でも毎年上位に名を連ねています。 一方、国の減反政策を受けて長年携わってきたコメの生産をやめ、あるいは縮小して、新たな作物の生産に挑んだ生産者も、ここ郡山にはい