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生産者インタビュー

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フロンティアファーマーズのメインコンテンツ。福島県郡山市で農業を営む皆さんにインタビュー取材しました。彼らがどのように「農」に取り組み、受け継ぎ、繋いでいるのか。彼らの生の言葉で…
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#郡山ブランド野菜

#50 畑をやめるつもりだった父。受け継ぐ4代目の想いは、「たくさんの“欲しい”の声に応えたい」

濱津農園 濱津和也さん 阿武隈川と谷田川の2つの河川に挟まれた郡山市東部の田村町金屋地区。冬、ここで農業を営む濱津和也さんの畑では、郡山ブランド野菜の「御前人参」や「紅御前」がいきいきとした緑の葉を伸ばします。「ここは砂地なので人参がまっすぐ育ちやすいんです」とい言いながら、きれいに伸びた抜きたての人参を見せてくれました。 この地に生まれ育った濱津さんが農業の道に入ったのは2021年4月のこと。大学進学後は東京で生活していましたが、一つの想いをきっかけに郡山へ戻ってきまし

#25 先駆的発想で事業を拡大した父のDNAを受け継ぎ挑む、若き経営者の「ものづくり」と「人づくり」

有限会社鈴木農園/株式会社まどか菜園 鈴木清美さん 地産地消メニューを提供する郡山市内の居酒屋で人気の食材の一つとなっているジャンボなめこ。味噌汁などに使われる一般的ななめこの何倍もある大ぶりのなめこは旨味も食感も豊か。天ぷら、アヒージョ、マリネ、ラーメンやそばの具材など、用途もバリエーション豊富です。 このジャンボなめこをつくっているのは、郡山市東部の田村町できのこ栽培を手掛ける鈴木農園。大型のなめこは全国でいくつか生産されていますが、その中でも先駆的な存在として知られ

#20 家族に息づく開拓者精神を胸に目指す「地域×農業」の新しいコミュニティづくり

コーワファーム(有限会社コーワ建設工業) 塩澤孝さん、晃平さん 郡山の市街地を見下ろす阿武隈川東岸の高台。遠くに安達太良山や奥羽山脈も見渡す丘の上の畑を訪ねると、そこに郡山ブランド野菜の枝豆「グリーンスウィート」を収穫する親子の姿を見つけました。遊休農地となり荒れ放題だったこの土地を借り受け、2人がゼロから野菜作りをスタートしたのは2016年のこと。翌年から作付けを始め3年が経ち、知識の面でも収入の面でもようやく農業として形になってきたといいます。 「どんな仕事でも立ち上

#16 料理で地元の野菜に付加価値を。それが居酒屋としての使命

居酒屋安兵衛 店長 早川健児さん 日曜日の朝、郡山市東部のとある畑を訪ねると、ビニールハウスの中で10名ほどのみなさんが大豆の殻むきをしていました。一房ずつ手仕事で豆をはじく根気のいる作業ですが、ハウスには明るい笑い声が響いています。 集まっていたのは、NPO法人郡山農学校のみなさん。2011年7月に設立されました。その定款には「安心安全で美味しい農作物の生産・消費等、地元の農業や食文化に対する理解を深める為の事業を行い、農業を主とした経済活動の活性化を通じて、東日本大震

#14 農家8代目、野菜ソムリエにして教育委員。地元野菜の伝道師が寒さを恵みに育てる「郡山ブランド野菜」

ふじた農園 藤田浩志さん 玉ねぎの「万吉どん」、中ねぎの「ハイカラリッくん」、かぶの「あこや姫」…。ユニークな名前が付けられたこれらの野菜はすべて、統一された規格のもと市内の農家たちによって作られる「郡山ブランド野菜」。郡山が誇る新しい産品です。 郡山を象徴するような野菜を自分たちの手で創り出そう――そんな想いのもと郡山ブランド野菜の認定がスタートしたのは2003年のこと。2007年には現在の「郡山ブランド野菜協議会」が発足し、何百何千という品種の中から郡山の気候風土に合

#5 郡山の農業の未来を担う“一番星”。 ブランド野菜を育てた父の背中を追い生産者の道へ

鈴木農場 鈴木智哉さん 農業界全体にとって深刻な問題である生産者の高齢化と後継者不足。農林水産省のデータによれば、年齢別の就業者数で見た場合、49歳までの農業就業者の数は全体のわずか16%。約7割を60代以上が占めています。一方、若手の新規就農者数は伸び悩んでおり、その流れに歯止めがかかる気配はありません。 そんな中、2017年、大学卒業後すぐに就農した期待の若手生産者が郡山にいます。彼の名は、鈴木智哉さん。「万吉どん」「佐助ナス」「あこや姫」など人気の郡山ブランド野菜を