マガジンのカバー画像

生産者インタビュー

50
フロンティアファーマーズのメインコンテンツ。福島県郡山市で農業を営む皆さんにインタビュー取材しました。彼らがどのように「農」に取り組み、受け継ぎ、繋いでいるのか。彼らの生の言葉で…
運営しているクリエイター

#農家

#26 「せっかく始めるのだから当たり前ではないことを」新しい農業を探したどり着いたエディブルフラワーの道

せっちょっぱら農園 影山智さん、美樹さん 食べられる花、エディブルフラワー。料理やスイーツに彩りとして添えられているのを、みなさんも一度はご覧になったことがあるのではないでしょうか。見た目の美しさ、可愛らしさが大きな魅力ですが、実は栄養価が非常に豊富であるとも言われ注目を集めています。 近年、福島県内でも少しずつエディブルフラワーの生産者が増え始めているようですが、ここ郡山でも、あるご夫婦が2019年からその栽培に取り組んでいます。市内富久山町八山田の影山智さん、美樹さん

#25 先駆的発想で事業を拡大した父のDNAを受け継ぎ挑む、若き経営者の「ものづくり」と「人づくり」

有限会社鈴木農園/株式会社まどか菜園 鈴木清美さん 地産地消メニューを提供する郡山市内の居酒屋で人気の食材の一つとなっているジャンボなめこ。味噌汁などに使われる一般的ななめこの何倍もある大ぶりのなめこは旨味も食感も豊か。天ぷら、アヒージョ、マリネ、ラーメンやそばの具材など、用途もバリエーション豊富です。 このジャンボなめこをつくっているのは、郡山市東部の田村町できのこ栽培を手掛ける鈴木農園。大型のなめこは全国でいくつか生産されていますが、その中でも先駆的な存在として知られ

#23 「手を抜かず、やれることは全部やる」。丹精込めた栽培で美しさが際立つ湖南の“箱入り”シイタケ

農事組合法人 愛椎ファミリー 小椋和信さん 農業の分野では今、家族経営による小規模農業経営体の重要性に世界的な注目が集まっています。 国連では2017年、持続的な食料生産を可能にする農業形態として家族農業を世界の「食」を守るカギと位置づけ、2019年から2028年までの10年間を「家族農業の10年」と定めることを採択しました。SDGs(持続可能な開発目標)の実現に世界が取り組む中、フロンティファーマーズで取り上げてきた家族経営の生産者のみなさんは、今後の私たちの日々の営み

#18 「お前、社長をやらないか」 父の一言をきっかけに保育士から農業の道へ

有限会社光 代表取締役 柳田美華さん 郡山の地で強い想いや誇りを胸に農業と向き合う生産者のみなさんを紹介するフロンティアファーマーズ。これまで紹介した方々の中には、元美容師、元システムエンジニア、元ライターなど、異業界から農業の世界へ飛び込み、いまや郡山の食を支えるホープとして活躍する方々もいらっしゃいました。 今回ご紹介する柳田美華さんも、そんなご経歴を持つ一人。以前は保育士として働いていましたが、2017年に水耕栽培の生産者として新規就農しました。現在、市内大槻町にあ

#14 農家8代目、野菜ソムリエにして教育委員。地元野菜の伝道師が寒さを恵みに育てる「郡山ブランド野菜」

ふじた農園 藤田浩志さん 玉ねぎの「万吉どん」、中ねぎの「ハイカラリッくん」、かぶの「あこや姫」…。ユニークな名前が付けられたこれらの野菜はすべて、統一された規格のもと市内の農家たちによって作られる「郡山ブランド野菜」。郡山が誇る新しい産品です。 郡山を象徴するような野菜を自分たちの手で創り出そう――そんな想いのもと郡山ブランド野菜の認定がスタートしたのは2003年のこと。2007年には現在の「郡山ブランド野菜協議会」が発足し、何百何千という品種の中から郡山の気候風土に合

#13 そりが合わなかったはずの亡き父。いま抱くのは父と同じ夢「三穂田の米農家のユニオンづくり」

有限会社安積ライスファーマーユニオン 安藤嘉行さん 郡山市三穂田町にある「深田ダム(深田調整池)」は、安積疏水によって猪苗代湖から引かれた水を郡山の水田に効率的に分配するため、1982年に完成した農業灌漑用ダムです。土を主な材料として作られた「アースダム」と呼ばれるタイプのダムで、その堤は全国3位の高さを誇っています(日本ダム協会「ダム便覧」より)。 その深田ダムがある三穂田町は、市内屈指の米どころとして稲作が非常に盛ん。安積ライスファーマーユニオンの安藤嘉行さんは、「こ

#12 震災を超え変わった意識。鶏が喜ぶ環境の中で最高の「郡山ブランド鶏」を作るのが今の夢

有限会社けるぷ農場 代表取締役社長 佐藤喜一さん 健康志向や食の安全性への関心が高まる中、スーパーや農産物直売所の卵売り場で「平飼い卵」の文字を目にすることが多くなりました。 「平飼い」とは、鶏をケージに閉じ込めるのではなく鶏舎の中や養鶏場の敷地内に放し、自由に運動させながら卵を産ませる飼い方のこと。欧米ではすでにケージ飼いを禁止している国があったり、海外資本の大手飲食チェーンでは使用する卵すべてを平飼いの卵に切り替えるなど、世界レベルでケージ飼いから平飼いへの転換が進ん

#11 「中途半端な気持ちでは農家は務まらない」―お客様から信頼を集める本気の梨づくり

伊藤梨園 伊藤正且さん 県内の農業振興を目的に次代を担い地域のリーダーとなる農業者を育成する「福島県農業総合センター 農業短期大学校(アグリカレッジ福島)」。1935年に「福島県立修練農場」として開設後、幾度かの組織変更を経て1988年から現校名となり、毎年数十名の農業を志す若者が、県内各地からその学びの門を叩いています。 アグリカレッジ福島の卒業生の多くは今、県内各地で農業や農業関連産業、食品産業などに従事しており、地域の食を支えるキーパーソンとして活躍しています。郡山

#10 「うちのブドウだけで作ったワインを飲みたい」―44年のノウハウを活かして挑むワイン用品種栽培

中尾ぶどう園 中尾秀明さん 果樹王国・福島における6次産業化推進を目的に、公益財団法人三菱商事復興支援財団の支援のもと2015年に完成した「ふくしま逢瀬ワイナリー」。郡山の市街地から湖南町へと抜ける三森峠の麓で、果実酒の生産から醸造、販売までを一貫で企画運営しています。2016年からシードルやリキュールの販売をスタート。2019年にはいよいよ郡山産ブドウを使ったワイン「Vin de Ollage」が発売され、ワイナリーとしての実績を少しずつ積み上げています。 現在、「Vi

#9 「なくてはならないものを作りシンプルに暮らしたい」—地域の人々に支えられ家族で歩む農業の道

株式会社あぶくま商会 百目鬼昭徳さん、綾子さん スマートフォンがどれだけ普及しても、AIがどれだけ発達しても、インターネットがどれだけ知的好奇心をくすぐっても、日々の生活において変わらず欠かせないもの。「食」の存在はまさに、私たちの命に直結する、なくてはならないものです。 そんな「食」を生み出す農業の魅力に気づき、東京から郡山に居を移して農業に取り組むご夫婦が郡山にいます。百目鬼昭徳さん・綾子さんご夫妻。昭徳さんはかつてIT業界で働いていましたが、2014年、綾子さんの実

#8 「やるつもりがなかった」農業。3年でブランド化から店舗運営へ。広がり続ける女性養蜂家の夢

Oriy’s HONEY 代表 折笠ルミ子さん 農業は、他の第一次産業に比べて従事者に占める女性の割合が高いと言われています。また、近年盛んな農産物の6次産業化においても、女性ならではのセンスと感性を味やパッケージに活かした商品が多く生み出されるなど、農業における女性活躍の場は格段に広がっています。 そんな中、福島県農林水産部では、県内で農業に従事する女性たちが相互に交流し経験や情報を共有することで県の農産物の魅力を高めていこうと、2016年7月に「ふくしま農業女子ネット

#7 経営力を身につけ前進を続ける9代目。 夢は“いつか片平をイチゴの里に”

有限会社うねめ農場 代表取締役 伊東敏浩さん うねめ伝説発祥の地である郡山市片平町。采女神社や采女が身を投げたといわれる山の井清水、采女を見初めた葛城王を祀る王宮伊豆神社など、伝説にちなんだ名所が町内に点在しています。 その王宮伊豆神社にほど近い場所に、今回お邪魔したうねめ農場さんの立派なビニールハウスが立ち並んでいます。最も大きいハウスは1棟およそ80mという長さです。経営するのは伊東敏浩さん。農家としてご自身で9代目。一度お寺が火事になってしまったためそれ以前のルーツ

#6 美容師から農業へ転身し10年。 野菜作りへの情熱を支え続ける「強く高い志」

有限会社ニッケイファーム 大竹秀世さん 前回の「フロンティアファーマーズ」に登場してくださった鈴木農場さんの存在と取り組みは今、郡山の農業界にしっかり根を張り、仲間同士の横のつながりや後進の育成にもつながっています。 今回ご登場いただくニッケイファームの大竹秀世さんも、鈴木農場さんで農業の指導を受けた経験をお持ちの一人です。この道を志して10年あまり。無農薬・無化学肥料での野菜作りにこだわり、今では年間約100種類もの作物を生産する、郡山の農業の未来を担う期待の若手の1人

#5 郡山の農業の未来を担う“一番星”。 ブランド野菜を育てた父の背中を追い生産者の道へ

鈴木農場 鈴木智哉さん 農業界全体にとって深刻な問題である生産者の高齢化と後継者不足。農林水産省のデータによれば、年齢別の就業者数で見た場合、49歳までの農業就業者の数は全体のわずか16%。約7割を60代以上が占めています。一方、若手の新規就農者数は伸び悩んでおり、その流れに歯止めがかかる気配はありません。 そんな中、2017年、大学卒業後すぐに就農した期待の若手生産者が郡山にいます。彼の名は、鈴木智哉さん。「万吉どん」「佐助ナス」「あこや姫」など人気の郡山ブランド野菜を